理事の代表権喪失

NPO法人は毎年、変更の登記が必要です。

事業年度が終了してから2か月以内に行う「資産の変更登記」がそれで、理事に変更などがあった場合は併せて行います。

前回、5/14(月)掲載の記事でも少し触れましたが、理事の代表権の範囲を改正NPO法に従って変更する法人は、この「資産の変更登記」のタイミングで、「理事の代表権喪失」の変更登記も行うよう、法務局からは通達が出ています。

※法務局HP「代表権を有する理事以外の理事の代表権喪失の登記」より
http://www.moj.go.jp/content/000096947.pdf
『この変更の登記は,特定非営利活動法人が他の登記の申請をする場合には,当該登記の申請と同時にしなければならないとされています(特定非営利活動促進法施行令第3条第2項)』

 では、3月末決算で、「代表理事(または「理事長」など)は、この法人を代表し、その業務を総理する」と定款に謳っている法人を例に、登記内容とその時期について整理してみます。

■「理事の代表権の範囲」に関し、定款変更をしない法人の場合
1.「資産の総額の変更」(5月31日までに)
2.代表権を有する者(=理事)の変更(変更後2週間以内に)
   ※代表理事(理事長)が任期中なら変更登記不要。
   ※代表理事が重任した場合は「原因年月日」に「平成24年〇月〇日重任」と記し、代表理事以外の理事は「原因年月日」に「平成24年4月1日代表権喪失」と書く。
   ※申請人の押印は代表理事の登録した印鑑で可。

 上記「2」に関する経過措置として、法務省は『施行令の施行の日(平成24 年4月1日)から6か月以内にこれら事項の登記をしなければならない』と通知しています。(施行令附則第3 条第1 項)
 それなら「2」は9月末までにすればいいような気がしますが、先のように『当該登記の申請と同時にしなければならない』とされているので、「1」と「2」は一緒に行うのが本来の姿のようです。

★★代表理事が交代した場合★★
 これまでの代表理事が代表を降り(=代表権を無くし)、新しい代表が誕生した場合は要注意!
 新しい代表が申請人になるには、新代表が印鑑証明をとって、法人代表印の印鑑登録をする必要があります。
 なぜなら、登記申請書には印鑑登録をした者しか記名押印できないからです。
 手続きを代理人が行う場合でも、法人名と法人を代表する理事の押印は申請書に必要ですので、ご注意ください。


■「理事の代表権の範囲」に関し、定款変更をする法人の場合
1.上記の「1」「2」を同様に行う
2.所轄庁に「定款変更認証申請」を行う
3.所轄庁から届いた「定款変更認証通知書」(申請からおよそ3~4か月後)などと共に、改めて、定款で謳った範囲の代表権を有する者(=理事)の登記を行う。

 「理事の代表権の範囲」に関して定款を変更してもしなくても、決算後2か月以内には「資産の総額の変更」と「代表権喪失」の変更登記を行うのが最善です。
 『どうせなら一度に・・・』と思いがちですが、「急がば回れ」。
 変更登記の期限や、提出する書類の多さ、煩雑さを考えると、結局、順番どおりに一つひとつ片付けていくほうが、確実と言えます。


 法改正に伴い、設立から6か月を経過してもなお、登記をしない法人は、所轄庁で「認証取り消し」ができるようになりました。
 法人登記は初年度だけで、その後一度も変更登記をしていないという法人が、少なからずいるという話も耳にします。
 この時期は所轄庁への「事業報告書」の提出に意識が集中しがちですが、登記のほうもお忘れなく。

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