【事業契約のポイント②】平等契約のススメ

 前回に引き続き、行政機関がNPOに業務を委託すると仮定して解説します。
 そもそも、行政がNPO等に業務委託するのは、そのほうが効果が高いと思われるからであり、NPOが安い下請けの役割を果たすからではありませんよね。契約内容が一方的であれば不平等ですし、理不尽とさえ言える場合もあるかもしれません。
 そうならないためにも、どんな権利に関して平等であるほうがいいのか、「にいがたNPO情報ネット」の管理運営業務を新潟県から受託している「新潟県NPO・地域づくり支援センター」の契約書を例に考えてみます。

(以下、行政=甲、NPO=乙)
◆成果報告書の提出
「乙は、業務を完了したときは遅滞なく業務の成果に関する報告書を作成し、甲に提出する」
…当センターでは、決算書は見積・請求時の書類を応用し、子細な内訳を省略しています。つまりこの条文は、事業報告の書類から、収支に関する子細計算書を省く、ということを意味します。
前提となっているのは「見積に沿って業務を遂行し、不正経理をしない」ということ。そのため、いつ開示要求がされても応えられるよう、日々の会計業務や記帳等は怠らないのが基本です。

◆著作権の取扱
「この契約に基づく業務の成果物に係る著作権は、乙に帰属する」
…業務を実施した乙が、成果物を有することが出来なければ、「やっただけ」になってしまう可能性があります。乙の実績がこの成果物によっても示されるのであれば尚のこと、こうした文言を盛り込むか、または「甲と乙の両者にある」としたほうがいいでしょう。

◆契約の解除
「乙は、甲がこの契約に違反した場合には、契約を解除することができる」
…委託者である甲に契約解除の権利があると謳われるのが一般的ですが、乙にその権利がないのは不平等ですよね。どちらかが違反をしたら、他方が解除を求められるようにしましょう。


 契約は、甲と乙(時には丙も)によって交わされる約束事で、パワーバランスは甲が一番強いですから、行政からの委託業務の契約書では、甲に有利な条件になっていると思います。
 とはいえ、契約内容が一方的であれば、NPOが下請け化しないためにも、異を唱えることも是です。協議や話し合いによって、円滑で、より高い効果をめざした内容にしたいものです。

 また、行政がNPOに業務委託することも、「協働」と位置付けられています。
 以下の「協働マニュアル」は、行政職員用に作られたものですが、NPOと県市町村、有識者等が意見を出し合って作っただけあって、双方の視点がバランスよく盛り込まれています。ぜひ参考にしてみてください。

「NPOと行政の協働マニュアル」
http://www.pref.niigata.lg.jp/kenminseikatsu/1226001688000.html

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