【事業契約のポイント①】契約時の留意点と考え方

 自治体などの行政機関から事業を受託しているNPOも多いかと思いますが、契約で気を付けておきたいのが、「仕様」に関することと、人件費や諸経費を含む「委託料」に関することです。

 行政からお金を受け取るという意味では、「委託」のほかに「補助」がありますが、これは、民間が実施している事業に対し、一定の公共性が認められる場合に申請に基づいて行政がその経費の一部を負担するものです。実施主体は補助金の交付を受けた側であり、同時に責任も成果も帰属します。 
  一方「委託」とは、行政が行うべき事業について、行政よりも他の主体が実施した方がより大きな効果が得られると思われる場合に、契約によってその主体に実施させることを言います。この場合、受託者は業務の履行責任を負いますが、あくまでも実施主体は行政であり、事業についての最終的な責任と成果は委託者である行政に帰属します。
 この違いや性質を理解して、契約に臨みましょう。

◆仕様書
 仕様書とは、委託事業の内容を具体的に記載した書類であり、契約内容の一部をなすものです。契約は委託側の甲と、受託側の乙によって交わされますが、この仕様書どおりに事業が実施されないと、乙による契約違反と見なされる場合もあるので、後々のトラブルを未然に防ぐためにも、双方で十分に協議し確認することが重要です。

◆委託料
 まずは見積りの時点で、以下の3点を考慮しましょう。

1.人件費は適正に
NPOだからといって、最初からボランティア感覚で安価に見積もったりしないよう注意しましょう。これは甲乙、どちらにも言えることです。また、その事業がNPOの専門性を必要とする場合は特に、事業の内容に見合った適正な人件費単価で積算することが重要です。

2.必要経費の算出
業務として当然必要となる事業の企画・打合せ、募集、報告書作成等に要する事務局スタッフの人件費、また実施に際して必要な物品の購入など、業務にかかる経費は漏れのないよう算出します。

3.間接費も忘れずに
諸経費の内訳となる、管理部門の事務局人件費や事務局の水道光熱費、租税公課、賃借料などの経費は、団体を継続的に運営していくためには当然必要な経費です。

 また、委託料の支払い時期やその方法については、契約書に明記しなければなりません。 支払方法の原則は「委託事業の履行確認後」ですが、事業の円滑な執行を確保やNPOの資金的な側面からも、前金払(※1)の方法もありますので、提案してみることをお勧めします。

※1・・・支払期限の前に、全部または一部が支払われること。委託費は前払いが可能(地方自治法施行令第163条第1項第2号)

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